試訳(オーウェルの人間ガンジー論)
The essence of being human is that one does not seek perfection, that one is sometimes willing to commit sins for the sake of loyalty, that one does not push asceticism to the point where it makes friendly intercourse impossible, and that one is prepared in the end to be defeated and broken up by life, which is the inevitable price of fastening one’s love upon other human individuals. (Reflections on Gandhi, 1949)
[試訳]
人間であることの本質は、完璧であることを求めないこと、時として忠誠心から進んで罪を犯してしまうこと、交友関係ができなくなってしまう程の禁欲主義を課さないこと、そしてゆくゆくは人生によって打ち負かされ、砕け散る準備ができていることである。それこそが、他の人間に対して愛情を注ぐ代償なのだ。
[私的感想]
完璧を求めないのが人間である。不完全だからこそ人間、自分の人生が台無しになってしまうのを知りながらも敢えて罪を犯すのが人間である。もしこれがAIだったら可能な限り完璧で、出来るだけ効率的なものを求めてしまうだろう。一見無駄に見えるもの、不必要に見えるもの、そして欠点さえも、それがその人の個性になり得る。完璧な人など詰まらない。ふと、先日再放送されていたピアニスト、フジ子・ヘミングの一言を思い出した。「間違ったっていいじゃない、機械じゃないんだから。」この文章はオーウェルの人間讃歌の真骨頂である。
次回はこの引用からの展開でオーウェルらしい皮肉に富んだ文章を味ってもらいます。
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