統治することの虚しさ 解題
And my whole life, every white man's life in the East, was one long struggle not to be laughed at. (Shooting an Elephant, 1936)
オーウェルは小説家としても有名だが、随筆家としても有名だ。多くの随筆を残しているが、代表的な作品を選べと言われれば、間違いなく『象を撃つ』をその一つに挙げるであろう。
この半フィクション、半ノンフィクションの境目で展開する珠玉の随筆では、統治する側(大英帝国)と統治される側(ビルマ)の歪んだ関係が露わにされる。つまり、植民地経営とは、統治する側が、統治されている側によって支配されているパラドックスの上に成り立っている、ということだ。
結局この物語の主人公は撃ちたくもないのに象を打ってしまう。その理由がなんと、現地人に笑われてはいけないという虚勢ただ一点だとは、誰も知る由もない。オーウェルの作品をまだ読んだことがない人は是非この随筆から読むことをお勧めする。
次回もオーウェルの鋭い一文を紹介します!
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