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Ikuya Takahashi

ヒリヒリした村上春樹の一冊。「中国行きのスロウ・ボート」 📚村上春樹

「中国行きのスロウ・ボート」 📚村上春樹


久しぶりに村上春樹の短編を再読。 今ももちろん素晴らしいのだけれど、この短編を書いていた頃の村上春樹は、ヒリヒリしたものがあった。この乾いた文体がやはり好きだ。比喩が独特で惹きつけられる。


中国人教師の試験監督、百科事典を売り歩いている中国人の同級生、そして19歳の時にバイトで一緒になった中国人の女の子。


初めてこの物語を読んだのは20歳の時だが、今でも鮮明に記憶に残っている。当時の自分の気持ちを思い出した。


「彼女の熱心さには、彼女のまわりのあらゆる日常性がその熱心さによって辛うじて支えられているのではないかといったような奇妙な切迫感があった」

「いくつかの希望を焼き捨て、幾つかの苦しみを分厚いセーターにくるんで土に埋めた」

「中国。僕は数多くの中国に関する本を読んだ。『史記』から『中国の赤い星』まで。それ でも僕の中国は僕のための中国でしかない。あるいは僕自身である。それはまた僕自身のニ ューヨークであり、僕自身のペテルスブルグであり、僕自身の地球であり、僕自身の宇宙で ある」
 

“A Slow Boat to China” by Haruki Murakami


I am rereading Murakamiʼs short stories for the first time in years. Certainly, Murakami is still an unparalleled writer. Personally, however, I prefer his earlier works, especially when he was in his early 30s. I can sense his detachment and desolate feelings. His figurative language is distinctive and captivating. Some of the sentences are galvanizing. The Chinese proctor, one of the protagonistʼs Chinese friends, the 19-year-old Chinese girl the protagonist has a date with in “A Slow Boat to China” still stick in my mind. I first read this story when I was 20. I found 20-year-old self once again.




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