Ikuya TakahashiOct 10, 20212 min read『「終戦日記」を読む』 野坂昭如偶然、台北の紀伊國屋で目に止まった本。一つ一つの言葉が刺さった。この本はもっと読まれるべきだ。著者は『火垂るの墓』で有名な野坂昭如。野坂は1930年生まれ、敗戦を迎えたのは15歳の時。有名、無名の人たちの日記の抜粋を軸に太平洋戦争、第二次世界大戦に向き合う。著名人...
Ikuya TakahashiOct 3, 20212 min read『物語を忘れた外国語』 黒田龍之介黒田氏の随筆のファンで、いつも興味深く読んでいる。今回のエッセイ集も黒田節満載だ。文章が小気味良く、チェコ語、ロシア語、フランス語、言語学、イラン映画や台湾映画、大好きなビールと、守備範囲が広い。いくつか考えさせられた文章を抜粋したい。...
Ikuya TakahashiSep 29, 20212 min read『アメリカひじき』野坂昭如作家、放送作家、作詞家、シャンソン歌手、俳優、政治家、多くの顔を持つ。野坂は、1930年に生まれ、終戦を迎えた時は15歳であった。自身を「焼跡闇市派」と呼ぶ。小説、随筆共に多作の作家であるが、最も有名な作品と言えば『火垂るの墓』であろう。今回はもう一つの代表作『アメリカひじ...
Ikuya TakahashiSep 26, 20212 min read『地球星人』 村田沙耶香この作品は以前から複数の友人から読むように強く勧められていた。村田沙耶香の作品は、一度読み出したら止まらない。タイトルからはナイーブにも牧歌的な世界を想像していたのだが、いい意味で全く別ものであった。 この物語は秋級(あきしな)と呼ばれる長野のある一画で展開する。主人公の名...
Ikuya TakahashiSep 21, 20210 min read『ピンク』星野智幸「一度回り始めたら、二度と止まってはいけない。止まったら、回る前よりも苦しくなる。楽でいたかったら、回り続けるほかない」 がむしゃらに、何も考えずに、ひたすらに回転する、という「行き止まり」、「捨て鉢」のイメージに強い共感を覚えた。...
Ikuya TakahashiSep 20, 20210 min read“Hell Screen” by Ryunosuke Akutagawa“Hell Screen” by Ryunosuke Akutagawa Ryunosuke Akutagawa is a genius writer. He committed suicide feeling “uncertain insecurity” at the...
Ikuya TakahashiSep 19, 20212 min read『英語と英国と英国人』吉田健一最近は中国語を学習していることもあり、外国語習得について(いつもながら)色々と考えている。そこで、久しぶりに吉田健一のエッセイを読む。柳瀬尚紀が「その名を口にすることすら畏怖する人」と形容する程の人物で、あの吉田茂の長男である。外交官であった父親の関係で、小さい時は世界各地...
Ikuya TakahashiJun 27, 20212 min read『物理の館物語』小川洋子『物理の館物語』 小川洋子 小川洋子の短編『物理の館物語』を授業で扱った。小川洋子の小説は今までにいつくか読んできたが、この短編を読んで、改めて彼女の文章に惹かれた。まず何と言ってもリズムが良く、読みやすい。また、微妙な心理を繊細に切り取る。科学的な描写も彼...
Ikuya TakahashiJun 19, 20212 min read『やがて哀しき外国語』村上春樹『やがて哀しき外国語』村上春樹 久しぶりに再読した。これは村上春樹がプリンストンに滞在した時のいわゆるアメリカ滞在記である。ヨーロッパ滞在記である『遠い太鼓』と併せて大好きなエッセイ集である。今日久しぶりに遠出をした折、何か文庫を持って行こうと思い、何故か...