Ikuya TakahashiMay 7, 20223 min read『針と糸』小川糸 無性にエッセイが読みたい時がある。それが外国の日常を切り取っていたり、文化的考察となると尚更手が出てしまう。台北紀伊國屋で平積みにされていた『針と糸』を購入。小川糸さんのエッセイだ。ドイツに住んでいた時の外国人としての視点や文化的考察、母親との葛藤などが綴られている。...
Ikuya TakahashiMay 4, 20223 min read坂口安吾『白痴』三島由紀夫は太宰治が甘い酒ならば坂口安吾はジンでありウォッカと形容したと言われている。まさにその文章には甘さがなく、現実の残酷さをそのままえぐり取る。前期の最後の授業で扱ったのは、坂口安吾の代表作、『白痴』だ。「堕ちろ、生きろ」と唱えた代表的評論『堕落論』と共に、坂口安吾を...
Ikuya TakahashiApr 7, 20223 min read『読書のちから』 若松英輔2年前にオンラインの出版社イベントに参加したことがある。その時に購入した書籍である。著者は批評家であり、随筆家の若松英輔氏。 「深く「読む」ためには深く「書く」必要がある。「読む」を鍛錬するのは「書く」で、「書く」を鍛えるのは「読む」なのである。「読む」と「書く」を有機的に...
Ikuya TakahashiMar 17, 20224 min read森茉莉『私の美の世界』松田青子の短編を読んでいた時に出くわした固有名詞、森茉莉。マリアと自分のことを呼んでいたらしい。森鴎外の長女である。文体が独特でエッセイイストとして名高い。今回初めて彼女の文章を読んでみたが、その文体に強く惹かれた。句読点の付け方が独特で、何とも言えないリズムがある。本のタ...
Ikuya TakahashiMar 16, 20223 min read東山彰良『流』「人には成長しなければならない部分と、どうしたって成長できない部分と、成長してはいけない部分があると思う。その混合の比率が人格であり、うちの家族に関して言えば、最後の部分を尊ぶ血が流れているようなのだ」 台湾に来る前に知人から東山彰良氏の『流(りゅう)』を勧められた。とにか...
Ikuya TakahashiJan 25, 20223 min read内田百閒『第一阿房列車』授業で内田百閒の『件』を扱ってからその作品の独特さに惹かれた。漱石一門である。同門の芥川龍之介も『内田百閒氏』と題した随筆を書いており、その才能を称えている。黒澤明の遺作「まあだだよ」の大学教師のモデルとなった人物でもある。東京大学ドイツ語学科を卒業した後、法政大学で教鞭を...
Ikuya TakahashiJan 16, 20222 min readJapanese literature classes in 2021Hello! It’s been a while since I last posted. I’ve been rather busy lately (sorry, it’s an excuse) and tend to procrastinate things,...
Ikuya TakahashiNov 6, 20214 min read『飼育』大江健三郎大江健三郎の文章には中毒性がある。大学1年の時、『万延元年のフットボール』の出だしを何度読み返しただろうか。大江氏の文章は熱を帯びており、読むとその熱が伝染する。溢れんばかりに喚起されたイメージに身体を揺さぶられる。文章は難解且つ翻訳調で、彼のような独特な文体をそれまで見た...
Ikuya TakahashiNov 3, 20213 min read『マーガレットは植える』松田青子「マーガレットは悲しみを植えた。マーガレットは不安を植えた。マーガレットは後悔を植えた。マーガレットは恐怖を植えた。マーガレットは恐怖を植えた。マーガレットは恐怖を植えた。マーガレットは恐怖を植えた。マーガレットは恐怖を植えた。」...